文書作成日:2017/02/05


 団信付きの住宅ローン残債がある状態で被保険者が死亡した場合、相続税の計算上、団信の保険金と残債の取扱いはどうなるのでしょうか。




 夫が団体信用生命保険(以下、団信)付きで住宅ローンを組み、マイホームを新築しました。新築してから5年経過後、夫が交通事故で亡くなりました。
 この場合、団信の保険金は誰が受取人になりますか。またこの保険金は、相続税の対象になるのでしょうか?
 一方で、住宅ローンの残債があります。この残債は、相続人である私たちが返済を継続しなければなりませんか。また、債務は相続税の計算をする際に、相続財産から差し引くことができると聞いたことがありますが、この住宅ローンの残債も同様に考えてよいでしょうか?




 ご相談のケースのように、団信付きの住宅ローンでマイホームを新築し、完済する前に相続が開始した場合には、その被相続人(=夫)の住宅関連の遺産はマイホーム(土地・建物)のみとなり、団信の死亡保険金も住宅ローン残債も相続税の計算からは除外されます。




 団信とは、次の契約を内容として、住宅ローンの返済途中で被保険者(=債務者)が死亡、高度障害になった場合に、債務者本人に代わって生命保険会社が住宅ローンの残債を銀行(=債権者)に支払う保険をいいます。

 <保険契約の内容>
◆契約者・保険金受取人:銀行(=債権者)
◆被保険者:夫(=債務者)
◆保険金額:死亡・高度障害時においての住宅ローンの残額
 ※保険金の受領を停止条件に住宅ローンの残額を免除する特約を、銀行は夫との間で締結。


■ポイント1■保険金は「死亡保険金」として相続税の対象となるのか?
 団信は契約者および受取人が銀行となるため、たとえ夫の死亡により支払われるものであっても、その死亡保険金は「みなし相続財産」とはなりません。つまり、相続税の課税対象にはならないということになります。


■ポイント2■住宅ローンの残債は債務控除(相続財産から差し引くこと)ができるのか?
 住宅ローンの残債が団信で確実に補てんされ、相続人が支払うべきものではなく、債務控除の対象となる「確実と認められる債務」にはあたらないとして、相続財産から控除しない取扱いとなっています。


<参考/国税不服審判所の裁決事例(昭和63.4.6裁決)より>
 相続税法上、債務控除ができる「確実と認められる債務」とは、債務が存在するとともに、債権者の債務の履行を求める意思が客観的に認識しうる債務、または債権債務成立に至る経緯から、事実的、道義的に履行が義務付けられているという場合、すなわち、債務の存在のみならず、履行の確実と認められる債務と解される。本件債務は、保険金によって補てんされることが確実であって、(不服審判の)請求人の支払う必要のないものだから「確実と認められる債務」にあたらない。また、保険金受取人は銀行であり、被相続人が保険料を負担した事実は認められないから、請求人の主張は失当である。以上の理由により、保険債務は相続税の課税価格の計算上、債務控除の対象とならない。


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